梅乃宿とは
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梅乃宿のパイオニアたち

酒を造るということは、日本の文化を継承するということ。 酒文化の伝道する梅乃宿のポリシーをご紹介します。

SEASON 02

酒造りの担い手たち

vol.12 営業を経験した蔵人として、できることを見つけたい。

03

清酒製造課 蔵人 松岡 慎太郎

映像クリエーターを夢見て、芸術系の大学で映像を学びました。しかし、学生時代の仲間の凄さに圧倒され、自分の実力ではその世界で生きていけないことを悟って、卒業後はフリーターに。映画をつくる傍ら、担当教授の手伝いをしたり、DTP関係のインストラクターをしたり、これという目標が定まらないまま、目の前にある仕事をこなす状態でした。そんな折、たまたま買った大吟醸を飲んで日本酒のおいしさに気づき、仕事として日本の伝統文化である日本酒に関わりたいと考えるようになりました。最初に扉を叩いたのは、京都の酒販店。社員としてルート営業を担当し、飲食店を回って日本酒のおいしさを伝える業務を3年間続けました。この酒販店で出会ったのが、梅乃宿のリキュール。妻の実家が奈良だったことも手伝い、家族で奈良に引っ越して、梅乃宿の季節雇用としてこの道を歩き始めました。季節雇用の後に研修期間を経て、この秋やっと正社員に昇格したところです。日本酒に関われば関わるほど、販売よりも酒造りに携わりたいという思いが強くなっていくのを感じていたので、この仕事に就けたことを心から感謝しています。

蔵人としては本当に駆け出しですが、現在は麹屋の助手を務めています。蔵に入ったばかりの頃は指示される仕事の理由や意味がわからず、全国の学者の方たちが書いたお酒や麹に関する論文や教科書を読みあさりました。これによって麹の何がもろみの中で作用しているのか、どういう作業をしたら目的とする効果が現れるのかということもおぼろげながらわかるようになってきたのです。仕事に対する面白さは日に日に増し、仕事を覚えるほどにやる気が増していくのを感じました。最近は、早く蔵人として一人前になり、「僕は日本の伝統文化に関わり、日本酒を造っています」と胸を張って言えるようになりたいと思っているところです。

研修期間中に他の蔵の造りを学ぶ機会があり、蔵によって麹の造り方や杜氏の考え方に大きな違いがあることを肌で感じることができました。これによって梅乃宿の品質を守る技術の高さを実感し、より一層、仕事を覚えたいという思いが強くなったのを覚えています。今後は梅乃宿ならではの技術をもっと身につけ、若手の蔵人のみで造りに挑戦する『UK-01』の造りなどにも関わっていきたいと考えています。

夢は、熟成された日本酒のおいしさを一般のお客さまに広めること。中長期の時間寝かせることによって深みを増したお酒には、熟成という付加価値が生まれます。新酒とは違う、こうした付加価値の魅力が一般のお客さまにも根付くことで、日本酒のファンはさらに広がっていくのではないでしょうか。酒販店で営業を経験した時代に、ストーリーのある日本酒は売りやすいということを知りました。米の産地やブランド、造りへのこだわりなど、さまざまな面で梅乃宿の日本酒にストーリーをつくることで、日本酒のファンのみならず梅乃宿のファンも広がっていくと思っています。
そしていずれは、蔵人として自分が造りに関わったお酒を自分で売り込む、蔵人営業にも挑戦したいですね。クリエイティブをかじった自分だからこそできることがあるのではないか。営業を経験した自分だからこそ、気づけることがあるのではないか。常にそんな課題を心の中に持ちながら、日々精進していきます。